東京高等裁判所 平成元年(ネ)3302号・平5年(ネ)610号 判決
主文
一 第一審被告井上の本件控訴を棄却する。
二 第一審原告の第一審被告三和商事、同二宮及び同寿宴に対する本件控訴をいずれも棄却する。
三 第一審原告の控訴に基づき、平成元年(ネ)第三三〇二号事件の原判決中、第一審被告稲元、同大和商事、同野口及び同上野に関する部分を次のとおり変更する。
1 第一審被告稲元は、第一審原告に対し、別紙第三物件目録≪省略≫一記載の建物部分から退去して別紙第一物件目録≪省略≫記載の土地を明け渡せ。
2 第一審被告大和商事及び同野口は、第一審原告に対し、別紙第三物件目録二の(一)及び(三)記載の建物部分から退去して別紙第一物件目録記載の土地を明け渡せ。
3 第一審被告上野は、第一審原告に対し、別紙第三物件目録三記載の建物部分から退去して同第一物件目録記載の土地を明け渡せ。
4 第一審原審の右第一審被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、第一審原告と第一審被告井上との関係では控訴費用を第一審被告井上の負担とし、第一審原告と第一審被告三和商事、同二宮及び同寿宴との関係では控訴費用を第一審原告の負担とし、第一審原告とその余の第一審被告らとの関係では第一、二審を通じてこれを三分し、その一を第一審原告の、その余を右第一審被告らの各負担とする。
理由
一 請求原因1及び2の各事実は当事者間に争いがない。
二 ここで、抗弁1(法定地上権)について判断する。
1 同(一)のうちの(1)及び(2)の事実、同(3)の事実中、本件抵当権設定仮登記がなされた当時、本件土地上に旧建物が存在したこと、及び、同(4)の事実中、第一審被告ら主張の日に相模観光が本件建物を完成し、その所有権保存登記がなされたことは当事者間に争いがない。
2 右一及び二1の争いのない事実並びに証拠(以下、いずれも証拠は、当審で提出されたもの以外は、特に断らない限り、原審横浜地方裁判所小田原支部昭和五八年(ワ)第一九四号、同第三三三号事件で提出された証拠によって表示し、原審東京地方裁判所平成元年(ワ)第一四九六九号で提出された証拠は東京事件と注記したうえで表示する。≪証拠省略≫)及び弁論の全趣旨によれば、本件の経過として次の事実を認めることができ、この認定を覆すに足りる証拠はない。
(一) 相模観光は、昭和四五年四月一六日、山本憲太郎から同人所有の本件土地を買い受け、同月一七日、山本憲太郎から相模観光に対する所有権移転登記がなされた。
(二) 相模観光は、昭和四八年三月二九日、本件土地について、権利者伊勢原農協、債務者大久保暿、債権額九〇〇〇万円とする本件抵当権を設定し、同月三一日、本件抵当権設定の仮登記がなされ、昭和五〇年八月三〇日、右仮登記に基づく本登記がなされた。
本件抵当権設定当時、本件土地の南端部分には山本喜歳所有の床面積九・九六平方メートルの木造建物である旧建物が存在し、良元松子がこれを賃借していたが、旧建物は、昭和四八年九月一五日ころ山本喜歳により取り壊された。
(三) 相模観光は、昭和四九年五月三〇日、本件建物を完成し、昭和五〇年四月一日、その所有権保存登記がなされた。
(四) 相模観光は、昭和五〇年三月二八日、本件建物について、権利者神奈川信用農業協同組合(以下「神奈川農協」という。)、債務者五位渕勉、債権額五〇〇〇万円とする抵当権を設定し、同年四月一日、右抵当権設定登記がなされた。
(五) 相模観光は、昭和五〇年五月七日、本件建物について、権利者伊勢原農協、債務者寺尾昭、債権額六〇〇〇万円とする抵当権を設定し、同月八日、右抵当権設定登記がなされた。
(六) 相模観光は、昭和五〇年八月二六日、本件建物について、権利者伊勢原農協、債務者大久保、債権額九〇〇〇万円とする抵当権を設定し、同月三〇日、右抵当権設定登記がなされた。
(七) 伊勢原農協は、昭和五四年三月二三日、本件土地について、横浜地方裁判所小田原支部に不動産競売の申立てをした。
競売裁判所は、右競売手続において、鑑定人宮寺榮一に本件土地の評価を命じ、同鑑定人は、本件土地の更地価格を二億〇三〇四万九七〇〇円と評価し、競売の結果、土地と建物が別異の人に帰属したときに法定地上権が成立するとして本件土地の評価額を四〇六〇万九九〇〇円と鑑定し、競売裁判所は、右評価額を本件土地の最低競売価額と定め、第一回競売期日が実施されたが、競買申出がなく、その後競売期日が重ねられ、これに伴って最低競売価額が減価されていった。
(八) 神奈川農協は、昭和五四年五月二一日、本件建物について、横浜地方裁判所小田原支部に不動産競売の申立てをした。
競売裁判所は、右競売手続において、鑑定人宮寺榮一に本件建物の評価を命じ、同鑑定人は、本件建物自体の価格を二億〇九三四万九六〇〇円と評価し、競売の結果、土地と建物が別異の人に帰属したときに法定地上権が成立するとして本件建物の評価額を法定地上権の価格を加えた三億七一七八万九四〇〇円と鑑定し、競売裁判所は、右評価額を本件建物の最低競売価額と定め、第一回競売期日が実施されたが、競買申出がなく、その後競売期日が重ねられ、これに伴って最低競売価額が減価されていった。
(九) 第一審原告は、昭和五七年三月二九日、本件土地を二三〇九万円で競落し、同年七月五日、第一審原告に対する所有権移転登記がなされた。
東急物産は、昭和六一年六月二四日の競売期日に本件建物につき一億二九六三万四七〇〇円で競買申出をし、同年七月一日、競落許可決定がなされ、昭和六二年三月一六日に右代金を納付し、第一審被告井上は、同日、本件建物を東急物産から代金五億五〇〇〇万円で買い受け、同年三月二八日、東急物産及び第一審被告井上に対する各所有権移転登記が順次なされた。
3 第一審被告らは、相模観光が本件抵当権設定当時、本件土地上の旧建物をその所有者から購入して所有していたと主張し、原審証人筑城弥はこれにそった証言をしている(東京事件の≪証拠省略≫はこの証人調書)が、右2(二)認定のとおり、旧建物は山本喜歳が所有していたものであるところ、前掲≪証拠省略≫によれば、旧建物は良元松子が賃借していたこと、山本喜歳は良元松子との間の訴訟につき昭和四七年八月三一日に成立した和解において、利害関係人として参加した相模観光に対し、旧建物を山本喜歳が所有することを前提に、旧建物を昭和五〇年一二月末日限り収去してその敷地を明け渡すことを約していることが認められ、その後相模観光に対する所有権移転がなされたことを証する証拠が提出されていないことに照らすと、前記筑城証言はたやすく措信できず、むしろ旧建物は山本喜歳が所有したまま取り壊されたものと認めるのが相当であるから、第一審被告らの前記主張は採用できない。
4 右2及び3の認定事実によれば、本件抵当権設定当時、本件建物は未だ建築されていなかったものであるうえ、本件土地上には旧建物が存在していたものの、旧建物は山本喜歳が所有していたものであり、昭和四八年九月一五日ころ、同人によって取り壊されたものであって、本件土地とはその所有者を異にしていたものであるから、本件土地とその地上建物が同一所有者に属していたとはいえないものというべきである。
5 しかも、右認定事実によれば、本件土地の面積は三五三・一二平方メートルであるが、旧建物は本件土地の南端部のわずか約一〇・六七平方メートル(別紙第一物件目録二記載の土地)上に存在していた木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建ての床面積九・九六平方メートルの小規模の建物にすぎないものであり、本件建物が鉄筋コンクリート・鉄骨造陸屋根八階建てで一階の床面積が二六〇・八〇平方メートルに及ぶものであるのと比較して、その規模、面積、構造等が全く異なるものと認められる。また、≪証拠省略≫、東京事件の≪証拠省略≫及び東京事件における第一審原告代表者尋問の結果によれば、旧建物は、昭和四八年九月一五日ころ、山本喜歳によって取り壊されたが、本件建物は既に同年三月ころ着工されており、旧建物の取壊しは本件建物の鉄骨を組み上げている時であって、旧建物と本件建物とはその位置も異なり、旧建物が存在した土地上に本件建物が再築されたものではないことが認められる。
したがって、旧建物は本件土地に利用制限をもたらし、その担保価値を減殺するようなものとは認めがたく、旧建物が存在したことから本件建物のための法定地上権の成立を認めることは著しく合理性に欠けるものというべきである。
6 また、第一審被告らは、伊勢原農協が、本件抵当権設定当時、近い将来旧建物が取り壊され、本件土地上に堅固な建物が建築されることを了解し、本件土地の担保価値としては本件建物の地上権を除いた底地権のみを把握していたと主張する。しかし、前記のとおり、旧建物は山本喜歳の所有であったし、旧建物の敷地に本件建物が再築されたものではなかったから、右主張はその前提を欠き、右事情のもとでは抵当権者の認識と法定地上権の成立とは関係がないばかりか、本件抵当権の債権額が九〇〇〇万円であるのに対し、前記のとおり、本件土地の競売手続での鑑定人の評価額は法定地上権の成立を前提として四〇六〇万九九〇〇円であったこと、前掲証人筑城弥の証言(東京事件の≪証拠省略≫)によれば、相模観光が旧建物が存在した当時の本件土地を購入した価格が七五〇〇万円であったものと認められることからすると、本件抵当権の権利者の伊勢原農協が本件建物のための法定地上権の成立を予期して本件土地の担保価値を算定したものではないというべきである。
7 そうすると、本件建物のために本件土地に法定地上権が成立するものということはできないから、第一審被告らの抗弁1は採用できない。
三 次に、抗弁2(権利の濫用)について判断する
1 右二で判断したとおり、本件においては、法律上、本件土地につき、本件建物のために法定地上権が成立するとはいえないものであって、本件建物の所有者は本件建物を収去して本件土地を明け渡さなければならない関係にあるものであるから、本件土地の所有者である第一審原告が本件土地の占有権原を有しないで本件土地を占有する者に対してその排除を求めることが権利の濫用になることは原則としてないものというべきである。
2 第一審被告らは、競売裁判所が本件土地及び本件建物の各競売に際し、本件土地に本件建物のための法定地上権が成立すると判断したと主張しており、なるほど前記二2の(七)及び(八)の事実によれば、競売裁判所は本件土地建物について法定地上権が成立すると判断した鑑定人の鑑定評価書(≪証拠省略≫)を基礎として本件土地あるいは本件建物の当初の最低競売価額を決定したものと窺われるが、そもそも法定地上権の成否は競売裁判所の判断によって左右されるものではないのであるし、右鑑定評価書の記載は競売裁判所が法定地上権の成立について判断を示したものでなく、この記載から法定地上権が成立することになるものではない。
そうして、競売法が適用される本件不動産競売においては、競落人に対抗できる賃借権については公告されることになっていた(同法二九条)が、建物の土地使用権については公告されず、競落しようとするものが自らの責任で調査する必要があったものであり、本件建物の競落人東急物産は右競売事件の一件記録中の本件建物と本件土地の各登記簿(≪証拠省略≫)を比較することによって、本件抵当権設定当時は本件建物は未だ存在せず、同建物のために法定地上権が成立しないことを容易に判断できたものであるから、右鑑定評価書等の記載に対する信頼を保護すべき事情が存在したということもできない。
3 かえって、≪証拠省略≫及び弁論の全趣旨によれば、第一審原告は、昭和五八年五月三〇日及び同年一二月二七日の二回にわたり、第一審原告が相模観光を被告として提起した本件建物についての建物収去土地明渡請求訴訟の勝訴判決が確定している旨の上申書を右判決を添付して競売裁判所に提出し、右上申書は本件建物の競売事件の一件記録中に添付されていたことが認められ、また、≪証拠省略≫及び弁論の全趣旨によれば、伊勢原農協からも、昭和五八年一二月二六日、本件建物について法定地上権が成立しないことを指摘し、日電総合株式会社の競落を不許可とすることを求めた意見陳述書が提出され、右意見陳述書も本件建物の競売事件の一件記録中に添付されていたことが認められるうえ、≪証拠省略≫及び第一審被告井上本人尋問の結果によれば、東急物産及び第一審被告井上は、昭和六一年一二月ころ、本件建物について法定地上権が成立しないことを前提とする相模観光代表者を被告訴人とした告訴状を弁護士を代理人として検察庁に提出していることが認められるのであって、東急物産や第一審被告井上は法定地上権の成立について問題のあることを知り、又は調査によりこれが成立しないことを知る機会がありながら法定地上権が成立するものと速断し、第一審被告井上は東急物産から本件建物を買い受けたものというべきである。
4 また、前記二2の(九)認定のとおり、現実に第一審原告が本件土地を競落した価格や東急物産が本件建物を競落した価格は当初の最低競売価額を大きく下回っており、右競売裁判所の判断と第一審原告及び東急物産の競落価格とは直接の因果関係はないものというべきである。まして、第一審被告井上が競売手続後に競落人の東急物産から本件建物を買い受けた価格は右最低競売価額とは何ら関係がないものであって、第一審被告井上本人尋問の結果によれば、第一審被告井上が右価格で本件建物を買い受けたのは、仲介人鈴木達及び東急物産代表者の言を信じ、本件建物の競売事件の一件記録から自ら採算の合う取引価格であると判断した結果にすぎないものと認められる。
5 なお、競売法には現行民事執行法八一条のような法定地上権の成立についての特則は存在せず、本件のような場合には土地と建物の一括競売の申立て(民法三八九条)によるか、裁判所による手続の併合をしたうえでの一括競売の方法による以外に建物の収去を避ける方法はなかったが、いずれも抵当権者の選択の自由あるいは裁判所の裁量に委ねられており、一括競売の方法が採られずに本件土地と本件建物が別個に売却されたことは、第一審原告が非難されるべき事情には当たらないし、このことをもって本件建物の競落人が保護されるべき事情が発生するということもできない。
6 第一審原告代表者本人尋問の結果によれば、第一審原告は、本件建物の最低競売価額が本件土地に法定地上権が成立することを前提とするものと考えていたことが窺われるが、そのため、前記のような上申書を提出して競落しようとする者に対して注意を喚起しており、他方、本件土地については第一審原告みずからの評価に基づいて競落したことが認められるものであり、第一審原告の本件土地取得の経緯に非難されるべき点は見出しがたい。
7 さらに、本件建物についてその収去を否定すべき特別な公共性あるいは社会性を認めるに足りる証拠はない。
8 以上認定したところによれば、東急物産あるいは第一審被告井上が必要な調査を行わずに本件建物について法定地上権が成立するものと判断したために第一審被告井上は本件請求を受けるに至ったというにすぎず、本件請求によって第一審原告が不当に利得するなどの結果を生じたと認められるものでもなく、本件請求を否定すべき社会的要請があるものでもないから、第一審原告の第一審被告井上に対する本訴請求が権利の濫用に当たるものとは認められない。
9 右のとおり、第一審被告井上は本件土地の使用権を有するものではなく、同被告所有の本件建物は収去されるべきであるし、本件建物の占有者であるその余の第一審被告らに対する関係でも、特段、第一審原告の本訴請求が権利の濫用になるような事情はない。
10 なお、第一審被告井上以外の第一審被告らは、第一審原告が、相模観光に対する本件建物収去本件土地明渡請求事件の勝訴判決を得ながら、第一審被告井上との間で、右勝訴判決に基づく強制執行をしないことを合意し、同被告以外の第一審被告らに対して本訴を提起したことが裁判手続の濫用であると主張する。前掲各証拠によれば、第一審原告は、第一審被告井上との間で争いがあったことから、平成元年一二月一八日、第一審被告井上との間で、第一審原告が相模観光に対する本件建物収去本件土地明渡請求事件の勝訴判決に基づく強制執行はせずに、同被告は右事件についての再審の訴えを取り下げ、同被告の本件建物収去本件土地明渡義務の存否については本件訴訟で争う旨合意したうえで、第一審被告井上に対しては本件建物収去本件土地明渡及び賃料相当損害金の支払を求め、その余の第一審被告らに対しては本件建物から退去して本件土地を明け渡すこと及び賃料相当損害金の支払を求めて本訴を提起したことが認められるが、第一審原告の第一審被告井上以外の第一審被告らに対する本訴の提起が裁判手続の濫用となる事情はなく、権利の濫用になるものとはいえない。
四 請求原因3の事実は第一審原告と第一審被告井上との間で争いがない。
五 請求原因4の事実について
1 同4のうち、第一審被告稲元が別紙第三物件目録一記載の建物部分を占有使用していること、同大和商事及び同野口が同目録二の(一)及び(三)記載の各建物部分を占有使用していること、並びに、同上野が同目録三記載の建物部分を占有使用していることはいずれも当事者間に争いがない。
2 しかし、同4のうち、第一審被告大和商事及び同野口が別紙第三物件目録二の(二)記載の建物部分を占有していることを認めるに足りる的確な証拠はない。
3 ところで、建物は、その敷地を離れて存在しえないのであって、建物を占有使用する者はこれを通じてその敷地をも占有するものと解すべきであるから、右建物部分の占有が肯定された者はその敷地である本件土地をも占有するものというべきであり、前記1記載の各第一審被告らは自己占有建物部分から退去して本件土地を明け渡すべき義務がある。
六 請求原因5の事実について
第一審被告三和商事が別紙第三物件目録四記載の建物部分、同二宮が同目録五記載の建物部分、同寿宴が同目録六記載の建物部分を現在占有していないことは第一審原告の自陳するところであるから、右被告らに対する右各建物部分からの退去等を求める請求は理由がない。
七 請求原因6及び7の各事実について
1 第一審被告井上に対する請求について
≪証拠省略≫によれば、本件土地の相当賃料額は一か月一〇四万四〇〇〇円であると認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。
2 第一審被告井上以外の第一審被告らに対する請求について
第一審原告は、第一審被告井上以外の第一審被告らに対しても本件土地の使用収益を妨げられたことによる賃料相当損害金の請求をしている(第一審被告三和商事、同二宮及び同寿宴については過去の占有につき)が、第一審原告がその所有する本件土地を使用収益できないのは、本件建物が存在するからであって、本件建物の賃借人である右第一審被告らの建物占有使用と第一審原告が本件土地を使用収益できないこととの間には、特段の事情がない限り、相当因果関係はないというべきであり、本件においては右特段の事情の主張立証はないから、第一審原告の右第一審被告らに対する請求は理由がない。
八 よって、第一審被告井上の本件控訴並びに第一審原告の第一審被告三和商事、同二宮及び同寿宴に対する本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却し、第一審原告の控訴に基づき、平成元年(ネ)第三三〇二号事件の原判決中、第一審被告稲元、同大和商事、同野口及び同上野に関する部分を主文第三項のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条、九三条を適用し、仮執行の宣言は相当でないからこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 谷澤忠弘 裁判官 松田清 今泉秀和)